活動報告

報告:第17回「ブータンにおける人と野生動物、家畜の関係:猿害対策と家畜の交雑利用の話題から」(2013年3月2日)

日時:2013年3月2日 13:30〜15:30

場所:焼肉屋いちなん3階
    京都市左京区一乗寺北大丸町51

ゲスト:川本 芳(かわもと よし)さん
    (京都大学霊長類研究所) 

参加者:5名

===== 

報告:第16回「饒舌な獣たちーアフリカの狩猟採集民アカの動物食回避」(2013年1月26日)


日時:2013年1月26日(土)13:30〜15:30

場所:焼肉屋いちなん3階
   京都市左京区一乗寺北大丸町51

ゲスト:竹内 潔(たけうち きよし)さん
    (富山大学)

参加者:7名

=====

アフリカの熱帯森林帯には、狩猟採集によって生活するさまざまな民族集団が住んでいます。その人々は、身長が低いことから、俗に「ピグミー」とよばれてきました。

今回は、そのような集団の一つで「アカ」とよばれる人々(アフリカ中央部(コンゴ共和国)に住む)を話題にします。

彼らは、15〜30人ほどのキャンプで生活していますが、そのようなキャンプには、リーダーが存在せず、メンバーは平等です。

その人々は、合計100種類以上の野生動物を食物としますが、それらの動物をだれでもいつでも食べるわけではなく、食物とするにもかかわらず、彼らが「食べない」動物とみなすものが多く含まれています。

(森に住む野生哺乳類約50種のうち、食物とみなされない動物は、ガラゴとモグラの2種のみ)

ここで、アカの人々の伝承から、彼らの「動物観」をみてみると、彼らは、アカの祖先たちのうち、さまざまな不道徳をはたらいた者が動物になった、つまり、森の動物たちはすべて昔のアカの子孫だ、と考えます。したがって、彼らにとって、動物は「人格的存在」だといえます。

そして、そのような動物を食べると、その動物の形や行動の特徴が、自分や自分の子どもに乗り移る、と考えます。

たとえば、ガラゴを食べると、自分の子どもの目がガラゴのように大きくなる、と考え、ゆえに食べない、という選択をしているようです。つまり、形や行動になにか「異常性」を感じる動物を、あえて食食べないのです。これは、他の動物についても同じです。

一方、この「摂食回避」の度合いは、人々の年齢によって変わり、子どもから青年、成人、老人と年齢が高くなるにつれて、回避が弱まって、何でも食べるようになります。

アカの人々は、乳児や幼児を「独立した完全な人間」とはみなさず、両親を乳幼児はつながっていて、両親のおこないが乳幼児に影響をおよぼす、と考えるので、小さい子をもつ親は、「異常性」のある動物を食べません。

たとえば、ジャコウネコ(斑点があるので、親が食べると子が発疹をおこす)、コウモリ(親が食べると子の顔がコウモリのようになる)など。

また、アカの社会では、女性のほうが男性よりも弱いとされるため、「男の動物」とされる動物を食べることを、女性は避けます。たとえば、アフリカシベット、ジャコウネコ、マングース、ヒョウ、チンパンジー、アカスイギュウ、カバなど。

一方、回避の対象とならない動物もいます。

ブルーダイカー、ピーダーズダイカー、フサオヤマアラシ、カワイノシシ、オオハナジログエノン、アフリカマルミミゾウの6種類で、これらは狩猟でよく獲れる動物です。

アカの人々は、狩猟でよく獲れる動物を、タブーからはずしているのですが、その理由はおそらく、よく獲れる動物=ありふれた動物で、異常性を感じないからではないか、と思われます。

アカの人々の摂食回避は、基本的に個人個人の感覚に依拠しており、多くの人または全員が食べない動物を食べても、それに対する制裁や非難はなく、あくまでも「個人タブー」というレベルの行動です。

さきほど触れたように、年齢が高くなると摂食回避が弱まりますが、これは、ある年齢以上になると、自分の子が乳幼児であることが少なくなることが反映されています。

アカの人々は、自分が今、人生のどの段階、どの状態にあるかを認識して、自分が食べない動物を選択しているといえます。

以上は、1980年代から20年以上にわたって行われた研究によってわかったことですが、

ごく最近では、アカの人々が住む地域も、森林伐採が行われ、環境が大きく変化しており、伐採基地に住む若者たちのあいだでは、摂食回避の傾向が弱まっているという調査結果(2010年)もあります。

今後、どうなっていくのでしょうか?

=====



報告:第15回「医療行為の進化:動物の自己治療行動が教えてくれること」(2012年12月1日)


日時:2012年12月1日(土)13:30〜15:30

場所:焼肉屋いちなん3階
   京都市左京区一乗寺北大丸町51

ゲスト:マイケル・ハフマンさん
    (京都大学霊長類研究所)

参加者:5名

=====

タンザニアのマハレ山塊国立公園に住む野生チンパンジーは、体調が悪いときに、ふだんは食べない草を食べます。

これは、ダニや、腸内寄生虫の駆除に役立っています。

植物も動物も、自分の身を守るためのしくみや行動をもっていますが、これもその一つ。

「生薬物食」(pharmacophagy)といわれる行動で、

特殊な成分を含む植物を、栄養補給以外の目的で摂取したり体内に蓄積することをいいます。

たとえば、性フェロモンの先駆物質として、あるいは社会的伝達、抗寄生虫、天敵防衛などに役立つことが知られています。

ここで、動物の自己防衛行動について、説明を加えておくと、このような行動には、次の3つのレベルがあります。

レベル1は、感染を避けたり、病原体との接触を回避する(住まいを移す、など)

レベル2は、予防や健康維持に役立つ植物の少量を頻繁に摂取する

レベル3は、病気の治療や症状の改善のために、生理活性のある植物部位の少量を限られた回数、摂取する(栄養価値は低い)

マハレのチンパンジーの植物性食物を調べてみると、その22%は、寄生虫感染や胃腸の疾病に対する薬として、人間が使う民間薬と共通していることが、わかりました。

マハレのチンパンジーは、1年のうちで寄生虫の感染が強い時期に、そのような植物を食べるようです。

また、アフリカの複数の場所の類人猿は、ザラザラした葉を呑み込んで、寄生虫を駆除していること(物理的な「虫下し」作用)が、知られています。

チンパンジーは、ベルノニア(vernonia)という、苦い植物を食べますが、この植物には、抗マラリア作用のあるステロイド化合物が含まれることが、わかりました。

そのほか、チンパンジーが食べるトリキリア(trichilia)という植物も、抗マラリア活性があるようです。

最近では、野生動物が利用する、薬効成分を含むこのような植物を、人間の医療に応用する研究も行われています。

=====








報告:第14回「愛のささやきと種多様性の関係:知られざるヤモリの鳴き声の世界」(2012年9月22日)


日時:2012年9月22日 13:30〜15:30

場所:焼肉屋いちなん3階 
   京都市左京区一乗寺北大丸町51
   http://www.ichinan.com/ 

ゲスト:城野哲平(じょうの てっぺい)さん
    (京都大学大学院理学研究科)

参加者:5名

=====

動物のコミュニケーションには、さまざまな手段がありますが、その一つが、聴覚コミュニケーション、つまり、鳴き声によるコミュニケーションです。

多くの動物が、鳴き声を使い分けて、求愛、闘争、なわばり宣言などを行います。

ヤモリも、そのような動物の一つです。

ヤモリが鳴く、ということは、あまり知られていませんが、 最近、調べられた20種のヤモリは、すべて鳴くことがわかりました。

日本のヤモリ属(Gekko)のヤモリについて、さらにくわしく調べてみると、

日本には8種(ニホンヤモリ、ミナミヤモリ、ニシヤモリ、オキナワヤモリ、ヤクヤモリ、タワヤモリ、アマミヤモリ、タカラヤモリ)が分布しており、これらは、種別、性別が外観からはほとんど区別できません。

これらのうちの異なる種が同じ場所に生息する場合、種間で交雑が起こる場合と起こらない場合があります。具体的には、ニホンとタワ、ニシとヤク、ミナミとヤク、ミナミとアマミの間には、交雑が起こります。

一方、オスの鳴き声を調べてみると、これら8種のうち、最初の4種(ニホン、ミナミ、ニシ、オキナワ)とそれ以外の4種(ヤク、タワ、アマミ、タカラ)では、特徴が異なることがわかりました。

前者は、鳴き声に規則的なパタン(種により少し異なる)があり、後者は、そのようなパタンがありません。前者を「パタン種」、後者を「ランダム種」とよぶことにします。

これらを合わせて考えると、交雑が起こるのは、パタン種とランダム種の間であることがわかります。
パタン種どうしは交雑しないようです。

なぜそのようなことが起きるのかを知るために、メスがオスの鳴き声を認識する能力を比較してみました。
 
すると、パタン種のメスもランダム種のメスも、 他の音よりは同種オスの声を好みますが、
パタン種のメスは、他種オスの声と同種オスの声を識別して同種オスを好むのに対して、ランダム種のメスは、両者を識別できないことがわかりました。

つまり、ランダム種は、鳴き声で種認識ができず、その結果、交雑が起こると考えられます。

生物の種の独立性→種の多様性が維持されるためには、それぞれの生物が同種の配偶者を選んで繁殖することが必要です。

そのためには、メスが同種のオスを認識できる必要があります。

しかし、ここでいうランダム種のヤモリでは、その機能が失われています。 つまり、オスは鳴き声パタンを失い、メスは同種オスと他種オスを識別できません。
それは、これらのヤモリは、長い間、他の種から地理的に隔離されていたので、種の識別能力が進化する必要がなかったからではないか、と考えられます。 

これらのことから、「愛のささやき」つまり、オスの求愛の鳴き声の構造のちがいが、種間交雑の有無を決定づけ、種多様性のあり方に影響をおよぼすのではないか、と推測されます。

ヤモリは、種類が多いにもかかわらず(世界で1500種余)、これまであまり研究されていなかったということなので、今後の研究が楽しみです。

(AM )


報告:第13回「エサの好みに関するヘビの個性」(2012年7月21日)


日時:2012年7月21日 13:30〜15:30

場所:焼肉屋いちなん3階
   京都市左京区一乗寺北大丸町51
   http://www.ichinan.com/

ゲスト:角田羊平(かどた ようへい)さん
    (京都大学大学院理学研究科)

参加者:6名


=====

ヒメハブ Ovophis okinavensis というヘビは、カエル、トカゲ、哺乳類、鳥類など、さまざまな動物をエサとしますが、

沖縄島に住むヒメハブは、カエルだけをエサとします。

では、沖縄島には、8種類のカエルがいますが、ヒメハブはどのカエルを食べているのでしょうか?いろいろなカエルを、よりどりみどりで、食べているのでしょうか?

沖縄島北部の調査地で、ヒメハブの胃内容物と、ヒメハブとカエルの出現場所、出現時期を調べてみると、

この地域のヒメハブは、アオガエルとヒメアマガエルという、2種のカエルだけを主なエサとしていることが、わかりました。

さらに、ヒメハブの個体によって、アオガエルかヒメアマガエルか、どちらかのカエルだけを主なエサとしていることがわかりました。

つまり、個体ごとにエサのカエルの好みがあるらしいのです。

これらのことから、ヒメハブは、全体としては幅広い食性をもちますが、沖縄島の個体群レベルでは主にカエル類を食べ、個体レベルでは、そのなかの1種類のカエルを食べる、ということになります。

ヒメハブにも、1匹1匹、好きな味があるのでしょうか?
条件が許す限り、好きな味のエサをとるということでしょうね。

好きな味のカエルがいない場所に、とつぜん移されたら、たぶんそこにいる別のエサを食べるのだろう、と思いますが、、。

(AM)

=====




記事検索
livedoor プロフィール
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ