日時:2012年12月1日(土)13:30〜15:30

場所:焼肉屋いちなん3階
   京都市左京区一乗寺北大丸町51

ゲスト:マイケル・ハフマンさん
    (京都大学霊長類研究所)

参加者:5名

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タンザニアのマハレ山塊国立公園に住む野生チンパンジーは、体調が悪いときに、ふだんは食べない草を食べます。

これは、ダニや、腸内寄生虫の駆除に役立っています。

植物も動物も、自分の身を守るためのしくみや行動をもっていますが、これもその一つ。

「生薬物食」(pharmacophagy)といわれる行動で、

特殊な成分を含む植物を、栄養補給以外の目的で摂取したり体内に蓄積することをいいます。

たとえば、性フェロモンの先駆物質として、あるいは社会的伝達、抗寄生虫、天敵防衛などに役立つことが知られています。

ここで、動物の自己防衛行動について、説明を加えておくと、このような行動には、次の3つのレベルがあります。

レベル1は、感染を避けたり、病原体との接触を回避する(住まいを移す、など)

レベル2は、予防や健康維持に役立つ植物の少量を頻繁に摂取する

レベル3は、病気の治療や症状の改善のために、生理活性のある植物部位の少量を限られた回数、摂取する(栄養価値は低い)

マハレのチンパンジーの植物性食物を調べてみると、その22%は、寄生虫感染や胃腸の疾病に対する薬として、人間が使う民間薬と共通していることが、わかりました。

マハレのチンパンジーは、1年のうちで寄生虫の感染が強い時期に、そのような植物を食べるようです。

また、アフリカの複数の場所の類人猿は、ザラザラした葉を呑み込んで、寄生虫を駆除していること(物理的な「虫下し」作用)が、知られています。

チンパンジーは、ベルノニア(vernonia)という、苦い植物を食べますが、この植物には、抗マラリア作用のあるステロイド化合物が含まれることが、わかりました。

そのほか、チンパンジーが食べるトリキリア(trichilia)という植物も、抗マラリア活性があるようです。

最近では、野生動物が利用する、薬効成分を含むこのような植物を、人間の医療に応用する研究も行われています。

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