日時:2012年6月23日(土)13:30〜15:30

場所:焼肉屋いちなん3階
   京都市左京区一乗寺北大丸町51

ゲスト:疋田 努(ひきだ つとむ)さん
    (京都大学大学院理学研究科)

参加者:10名 


=====

クサガメは、日本でよくみられる淡水カメの1つです。

日本列島に昔からいる土着の種だと考えられていましたが、 最近では、移入種ではないかと疑われています。

(クサガメは、日本のほか、朝鮮半島、中国の一部に分布しています)

その理由としては、 

化石の記録や、遺跡に残る証拠がなく、幕末や明治初期の分布がまれで、江戸時代以前の文献には現われないことがあげられます。

実際、縄文・弥生時代から15−6世紀までの遺跡からは、クサガメは出土していません。

文献上は、平安時代から江戸時代中期までに編纂された事典、辞書類には、イシガメやスッポンなどは載っていますが、クサガメの記述はみられません。

そして、 19世紀になって初めて、本草書(「本草綱目啓蒙」)に「クサガメ」が現われます。

また、筑前、筑後の方言を調べると、クサガメ移入以前はカメといえばイシガメで、呼び名が1種類だったのが、、クサガメが定着したのちには、イシガメと区別してちがう呼び名を使うようになりました。

これらのことから、クサガメは、18世紀後半に初めて、北九州に持ち込まれたと推定されます。

しかし、19世紀末から明治時代になっても、クサガメの分布は西日本に限られていたようです。

クサガメの移入の経路としては、江戸時代鎖国下の交易ルートの1つ、朝鮮〜対馬〜福岡ルートではないかと推測されます。

ところで、参加者からも質問が出ましたが、「移入種」というのは、どういう定義なのでしょうか?
とくに、時間的な定義(どれだけさかのぼっていうのか)が問題かもしれませんが、

日本の法律「外来生物法」では、「外来生物」とは、明治元年以降に日本に持ち込まれた種と、定義されているようです。

また、人間活動によって持ち込まれたものをいい、動物/植物が自分で移動してきて定着した場合は、あてはまらないそうです。

「外来生物」は、生態系や人間の生活に大きな影響をあたえる場合に問題視されるわけですが、

クサガメも、最近ではイシガメとの交雑種を多く生み出しているということで、少なくとも日本の生態系には影響がありそうですね。

カメという動物は、人間の日常生活にはあまり影響がないため、ふだん気にすることもありませんが、今回の話題は、いろいろ考えさせてくれる興味深いものでした。(AM)

=====