日時:2012年1月21日(土)13:30〜15:30

場所:焼肉屋いちなん3階
   京都市左京区一乗寺北大丸町51

ゲスト:梶田 学(かじた まなぶ)さん
    
参加者:6名 


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ルリカケスやアカコッコなどは、日本のごく限られた地域だけに生息する鳥です。

これらの鳥は、世界で、孤立無援の種類なのか、それとも、どこかに近縁の、似たような鳥がいるのでしょうか?
共通の祖先をもつ鳥が、ある時点で地理的に離れた場所に生息するようになったのでしょうか?

アカコッコ(Turdus celaenops)という鳥は、日本の伊豆諸島だけに生息していますが、この鳥の場合、姿形が似た鳥が2種類知られています。

1つは、ムナグロアカハラ(Turdus dissimilis)で、東南アジアに生息します。
もう1つは、アカハラ(Turdus chrysolaus)で、中国、日本、フィリピンなどに生息します。

これらの鳥はすべて、ツグミの仲間(Turdus ツグミ属)なので、形は似ています。
3種類とも、「アカ」「アカハラ」と名前についているように、腹側が赤色をしています。
そして、アカコッコと、ムナグロアカハラは、首から上の頭部が黒い色をしています。

一見して、頭が黒いムナグロアカハラが、アカコッコに近いような気もしますが、本当にそうなのでしょうか?

じつは、頭が黒いのはオスだけで、メスは頭が黒くありません。
メスの姿を比べると、アカコッコとアカハラが似ています。
さらに、羽の形と色を比べると、これもアカコッコとアカハラが近く、

DNAの塩基配列の比較からツグミ属の系統樹を描いてみると、
アカコッコとアカハラが非常に近縁で、ムナグロアカハラはそれらとはかなり隔たっているという結果になりました。

つまり、アカコッコは、頭が黒いオスの姿がよく似ているムナグロアカハラではなく、オスの姿からは「遠いかも」という感じがするアカハラ(日本にも生息)と近縁だったのです。

次に、ルリカケス(Garrulus lidthi)ですが、この鳥は日本の奄美大島に生息します。

姿が似た鳥として、インドに生息するインドカケス(Garrulus lanceolatus)と、
アフリカ、ユーラシア、日本に生息するカケス(Garrulus glandarius)が知られています。

ルリカケスは、その名のとおり、首から頭部にかけてと羽の一部が、鮮やかな瑠璃色をしています。
そして、背と腹が赤茶色をしています。

インドカケスの姿を見ると、とくにその色がルリカケスに似ています。
一方、カケスは、背と腹の色がもっと薄い茶〜灰色で、首や羽の瑠璃色もありません。
姿形についてのいろいろな特徴を実際に比べてみると、ルリカケスとインドカケスに共通点が多く、
さらにDNA 分析から、カケス属(Garrulus)の系統樹を描いてみると、ルリカケスとインドカケスが非常に近縁で、カケスはそこから隔たっていることがわかりました。

つまり、ルリカケスは、外見がよく似たインドカケスと、実際に近縁なのです。

最後に、おなじみのウグイス(Cettia diphone)を見てみましょう。

ウグイスには、4つの亜種が存在すると言われてきました。
ウグイス、カラフトウグイス、ダイトウウグイス、リュウキュウウグイスです。
これらは、くちばしの長さや、背側の羽色が少しずつ異なるとされてきました。

ダイトウウグイスとリュウキュウウグイスは、生息地が近いことから、同じ亜種かと考えられたこともありましたが、実際に、くちばしの長さと翼の長さや形を比べて見ると、はっきり異なることがわかりました。
一方、リュウキュウウグイスは、地理的に遠いカラフトウグイスと共通していることがわかりました。
さらに、生息時期を調べてみると、ダイトウウグイスが1年中その地に生息しているのに対して、リュウキュウウグイスは、11月〜3月の冬の時期だけに琉球列島に生息することがわかりました。

つまり、リュウキュウウグイスというのは、カラフトウグイスが越冬のために琉球列島にやってきたもので、この2つは同じものだったのです。

以上の例から、ある動物種と別の動物種が近縁であるかどうか、は、必ずしも外見だけからはわからないこと、また、生息地が近いから近縁とはいえない場合があることなどがわかりました。

とくに、外見の類似は、必ずしも近縁を意味しないという例は、他にも多くあり、興味深い問題だと思います。
そのうち取り上げてみてもおもしろいですね。

なお、上で取り上げた鳥の写真はWikipedia などでごらんください。

(AM)