2012年10月

10月はお休みします

都合により、10月の会はお休みさせていただきます。

以前、10月20日(土)とお伝えしていましたが、予定が変わりましたので、ご了解ください。
 
次回は、ちょっと変則的ですが、12月1日(土)に開催します。 
11月中の土曜日が都合がつかず、12月の後半は年末で忙しい、ということで、この日になりました。

詳細は、後日ご案内しますが、よろしくお願いします。

報告:第14回「愛のささやきと種多様性の関係:知られざるヤモリの鳴き声の世界」(2012年9月22日)


日時:2012年9月22日 13:30〜15:30

場所:焼肉屋いちなん3階 
   京都市左京区一乗寺北大丸町51
   http://www.ichinan.com/ 

ゲスト:城野哲平(じょうの てっぺい)さん
    (京都大学大学院理学研究科)

参加者:5名

=====

動物のコミュニケーションには、さまざまな手段がありますが、その一つが、聴覚コミュニケーション、つまり、鳴き声によるコミュニケーションです。

多くの動物が、鳴き声を使い分けて、求愛、闘争、なわばり宣言などを行います。

ヤモリも、そのような動物の一つです。

ヤモリが鳴く、ということは、あまり知られていませんが、 最近、調べられた20種のヤモリは、すべて鳴くことがわかりました。

日本のヤモリ属(Gekko)のヤモリについて、さらにくわしく調べてみると、

日本には8種(ニホンヤモリ、ミナミヤモリ、ニシヤモリ、オキナワヤモリ、ヤクヤモリ、タワヤモリ、アマミヤモリ、タカラヤモリ)が分布しており、これらは、種別、性別が外観からはほとんど区別できません。

これらのうちの異なる種が同じ場所に生息する場合、種間で交雑が起こる場合と起こらない場合があります。具体的には、ニホンとタワ、ニシとヤク、ミナミとヤク、ミナミとアマミの間には、交雑が起こります。

一方、オスの鳴き声を調べてみると、これら8種のうち、最初の4種(ニホン、ミナミ、ニシ、オキナワ)とそれ以外の4種(ヤク、タワ、アマミ、タカラ)では、特徴が異なることがわかりました。

前者は、鳴き声に規則的なパタン(種により少し異なる)があり、後者は、そのようなパタンがありません。前者を「パタン種」、後者を「ランダム種」とよぶことにします。

これらを合わせて考えると、交雑が起こるのは、パタン種とランダム種の間であることがわかります。
パタン種どうしは交雑しないようです。

なぜそのようなことが起きるのかを知るために、メスがオスの鳴き声を認識する能力を比較してみました。
 
すると、パタン種のメスもランダム種のメスも、 他の音よりは同種オスの声を好みますが、
パタン種のメスは、他種オスの声と同種オスの声を識別して同種オスを好むのに対して、ランダム種のメスは、両者を識別できないことがわかりました。

つまり、ランダム種は、鳴き声で種認識ができず、その結果、交雑が起こると考えられます。

生物の種の独立性→種の多様性が維持されるためには、それぞれの生物が同種の配偶者を選んで繁殖することが必要です。

そのためには、メスが同種のオスを認識できる必要があります。

しかし、ここでいうランダム種のヤモリでは、その機能が失われています。 つまり、オスは鳴き声パタンを失い、メスは同種オスと他種オスを識別できません。
それは、これらのヤモリは、長い間、他の種から地理的に隔離されていたので、種の識別能力が進化する必要がなかったからではないか、と考えられます。 

これらのことから、「愛のささやき」つまり、オスの求愛の鳴き声の構造のちがいが、種間交雑の有無を決定づけ、種多様性のあり方に影響をおよぼすのではないか、と推測されます。

ヤモリは、種類が多いにもかかわらず(世界で1500種余)、これまであまり研究されていなかったということなので、今後の研究が楽しみです。

(AM )


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