2012年04月

4月はお休みします

新年度、新学期など、いろいろと変化のある季節ですね。

だからというわけではありませんが、

「語ろう!どうぶつ」4月の回は、都合により、お休みさせていただきます。

次回は5月の後半に開催する予定ですが、詳細はあらためてご案内します。


報告:第10回「霊長類における巨大化と小型化の自然史」+懇親会(2012年3月24日)


日時:2012年3月24日(土)16:30〜18:30(懇親会:19:00〜 )

場所:焼肉屋いちなん3階
   京都市左京区一乗寺北大丸町51

ゲスト:矢野 航(やの わたる)さん
    (京都大学霊長類研究所)

参加者:8名

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報告:第9回「鳴かないトカゲの盗聴」(2012年2月25日)


日時:2012年2月25日(土)13:30〜15:30

場所:焼肉屋いちなん3階
   京都市左京区一乗寺大丸町51

ゲスト:伊藤 亮(いとう りょう)さん
    (京都大学野生動物研究センター) 

参加者:4名


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トカゲが鳴いているのを、聞いたことがありますか?

ない、と思う方が大半だと思いますが、実際、トカゲの多くは鳴きません。

しかし、聴覚が発達していることは知られています。
(トカゲの顔?をよく見ると、耳があるのがわかります)

鳴く動物の場合、仲間の声を聞くのに、聴覚が重要であることはすぐにわかりますが、仲間が鳴かないのであれば、トカゲは何を聞いているのでしょうか?
これまで、トカゲの聴覚の役割はよくわかっていませんでした。

鳴く動物は一般に、危険が迫ると、警戒声を発します。
それは、第一に同じ種の動物に危険を知らせるためですが、その声は、近くにいる他種の動物にも聞こえます。

別の言い方をすれば、他の種の動物が出した警戒声を盗み聞きして、それを自分の身を守るために利用する動物がいるのです。

たとえば、マダガスカルのある地域に住む2種のトカゲ(キュビエブキオトカゲ、ヒラオオビトカゲ)と1種の鳥(マダガスカルサンコウチョウ)は、猛禽やヘビを共通の捕食者とします。

このような場合、鳥が出す警戒声を鳴かないトカゲが利用すれば、効率よく捕食者を避けられるかもしれません。

そこで、これらのトカゲが、サンコウチョウの警戒声に反応するか、実験してみました。

サンコウチョウの警戒声と、比較のために「さえずり」を録音したものを、トカゲに聞かせたところ、
どちらのトカゲも、「警戒声」に強く反応することがわかりました。

つまり、これらのトカゲは、鳥の警戒声を盗聴することがわかりました。
他種の警戒声の盗聴は、トカゲ類に広くみられる行動かもしれません。

このように、一見、無関係な動物種間で、「盗聴」(情報認知)を介した非対称な種間関係というのが、動物には存在する可能性があります。

(AM)
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報告:第8回「似た者同士のほんとの関係〜ルリカケスやアカコッコを例にして〜」(2012年1月21日)


日時:2012年1月21日(土)13:30〜15:30

場所:焼肉屋いちなん3階
   京都市左京区一乗寺北大丸町51

ゲスト:梶田 学(かじた まなぶ)さん
    
参加者:6名 


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ルリカケスやアカコッコなどは、日本のごく限られた地域だけに生息する鳥です。

これらの鳥は、世界で、孤立無援の種類なのか、それとも、どこかに近縁の、似たような鳥がいるのでしょうか?
共通の祖先をもつ鳥が、ある時点で地理的に離れた場所に生息するようになったのでしょうか?

アカコッコ(Turdus celaenops)という鳥は、日本の伊豆諸島だけに生息していますが、この鳥の場合、姿形が似た鳥が2種類知られています。

1つは、ムナグロアカハラ(Turdus dissimilis)で、東南アジアに生息します。
もう1つは、アカハラ(Turdus chrysolaus)で、中国、日本、フィリピンなどに生息します。

これらの鳥はすべて、ツグミの仲間(Turdus ツグミ属)なので、形は似ています。
3種類とも、「アカ」「アカハラ」と名前についているように、腹側が赤色をしています。
そして、アカコッコと、ムナグロアカハラは、首から上の頭部が黒い色をしています。

一見して、頭が黒いムナグロアカハラが、アカコッコに近いような気もしますが、本当にそうなのでしょうか?

じつは、頭が黒いのはオスだけで、メスは頭が黒くありません。
メスの姿を比べると、アカコッコとアカハラが似ています。
さらに、羽の形と色を比べると、これもアカコッコとアカハラが近く、

DNAの塩基配列の比較からツグミ属の系統樹を描いてみると、
アカコッコとアカハラが非常に近縁で、ムナグロアカハラはそれらとはかなり隔たっているという結果になりました。

つまり、アカコッコは、頭が黒いオスの姿がよく似ているムナグロアカハラではなく、オスの姿からは「遠いかも」という感じがするアカハラ(日本にも生息)と近縁だったのです。

次に、ルリカケス(Garrulus lidthi)ですが、この鳥は日本の奄美大島に生息します。

姿が似た鳥として、インドに生息するインドカケス(Garrulus lanceolatus)と、
アフリカ、ユーラシア、日本に生息するカケス(Garrulus glandarius)が知られています。

ルリカケスは、その名のとおり、首から頭部にかけてと羽の一部が、鮮やかな瑠璃色をしています。
そして、背と腹が赤茶色をしています。

インドカケスの姿を見ると、とくにその色がルリカケスに似ています。
一方、カケスは、背と腹の色がもっと薄い茶〜灰色で、首や羽の瑠璃色もありません。
姿形についてのいろいろな特徴を実際に比べてみると、ルリカケスとインドカケスに共通点が多く、
さらにDNA 分析から、カケス属(Garrulus)の系統樹を描いてみると、ルリカケスとインドカケスが非常に近縁で、カケスはそこから隔たっていることがわかりました。

つまり、ルリカケスは、外見がよく似たインドカケスと、実際に近縁なのです。

最後に、おなじみのウグイス(Cettia diphone)を見てみましょう。

ウグイスには、4つの亜種が存在すると言われてきました。
ウグイス、カラフトウグイス、ダイトウウグイス、リュウキュウウグイスです。
これらは、くちばしの長さや、背側の羽色が少しずつ異なるとされてきました。

ダイトウウグイスとリュウキュウウグイスは、生息地が近いことから、同じ亜種かと考えられたこともありましたが、実際に、くちばしの長さと翼の長さや形を比べて見ると、はっきり異なることがわかりました。
一方、リュウキュウウグイスは、地理的に遠いカラフトウグイスと共通していることがわかりました。
さらに、生息時期を調べてみると、ダイトウウグイスが1年中その地に生息しているのに対して、リュウキュウウグイスは、11月〜3月の冬の時期だけに琉球列島に生息することがわかりました。

つまり、リュウキュウウグイスというのは、カラフトウグイスが越冬のために琉球列島にやってきたもので、この2つは同じものだったのです。

以上の例から、ある動物種と別の動物種が近縁であるかどうか、は、必ずしも外見だけからはわからないこと、また、生息地が近いから近縁とはいえない場合があることなどがわかりました。

とくに、外見の類似は、必ずしも近縁を意味しないという例は、他にも多くあり、興味深い問題だと思います。
そのうち取り上げてみてもおもしろいですね。

なお、上で取り上げた鳥の写真はWikipedia などでごらんください。

(AM)










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